多人数同時閲覧での活用事例

一般社団法人PathPortどこでも病理ラボ代表理事/自治医科大学病理学・病理診断科 教授 福嶋敬宜先生

※インタビュー当時のご状況であり、現状とは異なる場合がございます

全国の病理医が気楽に集まって
オンラインで相談できる新たな“場”の創出

全国の病理医が気楽に集まって相談できる新たな“場”として立ち上げた団体「PathPortどこでも病理ラボ」でPidPortをご利用いただいている自治医科大学病理学・病理診断部の福嶋敬宜先生に、PidPortの導入背景や活用方法についてお話を伺いました。

導入前の課題

  • 他のデジタル病理システムは、導入工数がかかり制限があり使い心地も良くなかった。

  • 日本でのデジタル病理の普及が予想以上に鈍く、待ってられない状況だった。

導入後の効果

  • ビューワーの使い勝手が良くセキュリティも強靭なので導入しやすく、スマホでも気楽に利用できる。
  • 「PathPortどこでも病理ラボ」でPidPortをフル活用してオンラインで週1回の「症例供覧室レビュー」や月1回のセミナーなどを実施している。

PidPort導入の背景を教えてもらえますか?

pidport_03
そもそも日本には病理医が少なく、大学病院でも各領域の専門家を揃えることはまず不可能です。例えば、私が過去に在籍していた、国立がん研究センター中央病院や東大病院などは、国内では比較的恵まれた人数の病理医を擁す施設だとは思いますが、それでも例えば米国のトップクラスの施設と比べれば、その中のある臓器(消化器、婦人科ほか)部門1つの規模と同じくらいではないかと思います。

そんな国内の病理医事情を窺い知ることができる数字をいくつか紹介しますと、まず、国内の病理専門医数は2022年4月現在2642名です。そして、これは2016年のデータですが、全国の約8400病院中、400床以上の一般病院710病院の28.5%に当たる202病院で、常勤病理医が不在です。さらに常勤病理医がいる病院でも、その40%は1人しか在籍していない、いわゆる「一人病理医」の状態なのです。

このような日本の病理医の現状で、現場の病理医の負担を軽減する方法として考えられるのは、まず、標本をどこかに集めて、全国の病理医が自分の専門分野の標本を分担して診断するというのがあります。私はこれを「仮想病理診断室」と呼んで10年くらい前から考えていました。また、病理診断自体を完全に分担しなくても、少人数で診断している施設で診断に迷った時に、すぐに専門家に相談できるシステムのようなものがあれば、これも、病理医不足を完全に補うわけではなくても、精神面も含め大きな支えになると思われます。

そして、この二つの方法を実現させるために必須のものがありますが、それがデジタル病理を用いた遠隔病理システムです。2010年代にはすでに複数の病理医が在籍する様な施設では、組織標本のスキャナを有しているところも多く、このままデジタル病理の普及が進んでいけば、我々現場の病理医が恩恵を受けるのも、そう遠くはないと割と楽観的に思っていたのが10数年前の頃のことです。

ただ、現実には、デジタル病理の普及が予想以上に鈍いのです。
それで、もう待っていられない、自分達でどうにかしなくては、と思いました。

PidPortを導入した決め手は何でしたか?

数年前、久留米大学病理学教室の内藤嘉紀先生に膵臓EUS―FNA標本をAIで解析するというプロジェクトの相談を受けているときにメドメイン社の存在を知り、興味を持っていました。そして、そのプロジェクトを進めていく過程で、メドメイン社の人たちとの交流が始まり、思い切って、以前から頭に描いていた「仮想病理診断室」のことを話してみたのです。そうしたら、PidPortが活躍できる場が広がるのではないかという期待も感じ取ってもらえたのか、そこから、PidPortの活用・導入方法を軸に、話し合いを重ねるうちに、新たな病理医コミュニティを作って、そこで皆でPidPortを使って、自分たちが診断に迷った症例を相談し合うのはどうだろうかという、現在のPathPortどこでも病理ラボの原型的なイメージができてきたのです。

話が前後しますが、デジタル病理システム自体は他にもいくつかあるのに、なぜPidPortにしたかというのは、とにかくビューアーの使い易いさが気に入りました。アプリケーションをダウンロードする必要もなく、スキャナと同じメーカーのファイルしか使えないとか、そういう縛りがなく、本当に「これは良い!」と思いました。

私は先ほど話した様に、デジタル病理の導入についてはずっと考えて来ていましたので、例えば学会に参加しては機器展示に行って多くのメーカーのビューアーを使わせてもらったり、説明に来てもらったりしてきていたのですが、特にビューアーで使い心地の良いのはあまりないなあという気持ちを持っていたのです。だから、PidPortを初めて使わせてもらった時、瞬間的に使い勝手の良さを感じられたのは大きかったと思います。

そして、いざ自分たちの標本を皆に相談するといったときの画像のアップロードも驚くほど簡単でびっくりしました。そして、アップロードされたときには個人情報はなくなり、クラウドのセキュリティも強靭であるとお聞きし気持ちは「PidPort一択」となりました。

具体的なPidPortをどのように活用されているのでしょうか?

導入事例_国際医療福祉大学_03
2021年の5月に、「PathPortどこでも病理ラボ」という団体を完全非営利型の一般社団法人という形で立ち上げ、そこで、PidPortをフル活用させていただいています。まず、全国各地にいる病理医が、相談したい症例をクラウド上の「症例供覧室」に提示し、それに誰でもコメントし合える様にしました。そして、その様な症例を、毎週1回、オンラインカンファレンスの形で施設を超えて話し合うという「症例供覧室レビュー」でもリアルタイムにPidPortを使いながらの討論を行っています。また、月1回は専門家を招待しての病理診断セミナーも行なっていますが、その際に行う「ライブコンサルテーション」では、専門家にPidPortを操作しながら病変の読み方を説明してもらうことにしています。これは専門家と一緒に供覧顕微鏡を覗きながら学んでいる感覚も持てますので、特に若い病理医にはとても貴重な機会だと思います。

これが現在の使用の現状ですが、スタートから1年くらい経って、病理診断について全国の病理医が気楽に集まって相談できる新たな“場”が本当に実現して来た感じで、今後の発展も考えるととてもワクワクしています。

PidPortを活用いただいているようですが、活用所感や実際に導入しての効果などについてはいかがでしょうか?

PidPortの活用所感ということで言えば、先ほど言った通りで、そのスムースさ、手軽さは素晴らしく、PathPortの会員の中には、タブレットPCや中にはスマホでWSIを見ている人もいる様です。それくらい、デジタル病理を身近なものにしてくれたPidPortというかメドメイン社の功績は大きいと思いますよ。

今の国内の病理医の状況が少しでも改善される様に、次の大きなステップとしては、1日も早くメドメイン社が開発した病理AIが、我らがPidPortに搭載され、日常診断にも活用されることですね。少し前までは夢物語の様でしたが、実際、かなり近くまで来ていますので、メドメイン社さんには本当に期待しています。

今後の目標や展望を教えて下さい。

PathPortどこでも病理ラボには、日本の病理医の1割である約300人がサポート会員(有料会員)として、約1/3である1,000人が登録会員として入会してもらうという数字目標がありますが、もちろん企業ではありませんので数字が重要なわけではありません。ただ、そのくらいの規模になると、その先に見据える目標の達成に近づくと思うのです。つまり、ほぼ全ての領域の専門家がPathPortのコミュニティ内にいて、この中で、病理診断に関する問題のほとんどは解決できるという状態です。そしてその過程で、次世代を担う若い病理医会員を皆で育てていくという環境や気持ちの醸成を図っていき、若手病理医同士の施設を超えた繋がりがバーチャルからリアルに繋がっていく場を本当に提供できる様になればよいなと思っています。
その他に取り組んでいくこととして、医学生の内から病理医キャリアについて考える機会を提供しようと立ち上げた「PathPortキャリア塾」でも情報発信を続けていけたらと思います。また、それぞれの分野で臨床科も交えた分科会を盛り上げていくこと、さらにはPathPortの国際化も目標の一つとしています。こう話すと、「何でもかんでも広げすぎない方がいいんじゃないの」と思われるかもしれませんが、我々の軸は「病理診断」であり、そこがブレなければ、今話したとことは、はっきり言えば1,2年の内に全部実現可能なことだと思っています。ぜひ、期待してみていて下さい。

まあ、それもこれもPidPortなしにはできないことであり、本当にPidPortには感謝しています。今後とも宜しくお願います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

関連記事

病理診断の業務負荷を
私たちのテクノロジーが
解決します。