学生講義用途での活用事例

久留米大学医学部 解剖学講座
顕微解剖・生体形成部門
主任教授 嶋 雄一 先生

※インタビュー当時(2024年5月)のご状況であり、現状とは異なる場合がございます

学生主体の学びを支える、組織学実習におけるPidPortの活用法とは?

PidPortの導入背景や活用事例について、久留米大学医学部 解剖学講座 顕微解剖・生体形成部門 主任教授 嶋 雄一 先生にお話を伺いました。

導入前の課題

  • 以前していたシステムは教育に特化したものではなく、使い勝手や処理速度に課題があった。
  • アクセスに時間がかかり、ファイルのアップロードや画像表示に待ち時間が発生するなど、ストレスを感じることが多々あり、学生からも不満の声が挙がっていた。

導入後の効果

  • アナログとデジタルの良さを活かしつつ、ハイブリットな環境を提供することで学習効果や効率の向上が期待できる。

  • 先生方や学生から「使いやすい」という声や、「実習の理解度が高まる」などポジティブな声が上がっている。

  • 情報整理もしやすく、学生にとって以前よりも格段に事前学習に活用しやすい環境が整った。

  • 学習環境が整い、事前事後の学習に工夫がみられるなど学生主体の学びをサポートするツールとして活用できている。 

久留米大学様では病理学実習に続いて解剖学講座における組織学実習でもPidPortを導入いただきました。導入の背景について詳しくお聞かせいただけますか?

 本大学の解剖学講座では1年生で組織学実習が行われ、組織の構造や機能について学んでいます。実習では組織の解説だけでなく、学生自ら顕微鏡で対象となる臓器を観察しながら細胞をスケッチし、手を動かしながら進めていきます。しかし、学生にとっては初めて見る組織ですので、限られた時間の中での観察だけでは理解が追いつかないことがあります。

 そのため、バーチャルスライドを用いたシステムを活用することで予習復習が行える学習環境を整備し、理解不足を補う取り組みを行っています。けれども、以前利用していたシステムは教育に特化したものではなく、使い勝手や処理速度に課題がありました。アクセスに時間がかかり、ファイルのアップロードや画像表示に待ち時間が発生するなど、ストレスを感じることが多々あったのです。また、バーチャルスライドの色調の変更や、目印やメモの書き込みができないなど機能面でも物足りない点が多く、学生からも不満の声が挙がっていました。そこで、病理学の矢野博久教授(現・名誉教授)からご紹介いただいたPidPortを組織学実習でも活用してみることになったというのが導入の経緯です。

組織学実習では、PidPortをどのようにご活用いただいているのでしょうか。

 対象が1年生ということもあり、顕微鏡を自身で操作しながら理解を深めることも必要な経験だと考えています。ですので、従来通りの顕微鏡を用いた実習を基盤にしつつ、予習や復習の支援としてPidPortを取り入れています。

 また、顕微鏡で標本を観察する際、実習室の大型ディスプレイにPidPortを投影し、標本の観察ポイントを確認する際にも活用しています。アナログとデジタルの良さを活かしつつ、ハイブリットな環境を提供することで学習効果や効率の向上を図るねらいです。
PidPortを活用し始めてまだ1年ということもあり、定量面での効果測定はこれからという段階ですが、定性面では先生方や学生から早くも「使いやすい」という声や、「実習の理解度が高まる」などポジティブな声が上がっています。

学生さんにはどのような変化がありましたか?

 
 熱心な学生ほどPidPortを活用している様子がよくみられます。我々としては、はじめから答えを与えるのではなく、学生自ら考えることこそ大切な学びの機会だと考えています。こうした思いから、PidPortも画像ごとに細かな解説を設けずに、自由に閲覧できる環境の提供にとどめています。この方針が功を奏し、事前学習では実習前に対象の組織を拡大し、画面をコピーして自分なりの気づきを書き込むなどして資料を作り込み、授業に挑む学生も見受けられました。実際に、あらかじめ標本の画像を見て組織の構造を想像したうえで実習を迎えた学生は、授業における解説の理解も早いと感じます。また。実習後にPidPortで組織の画像を切り取って、メモを書き込んだりスケッチをし直したり、試験前にもアクセスするなどして、復習に励む学生もいました。

 ただし、個人差が大きく、全ての学生がPidPortを活用した学習ができているわけではありません。また、活用しきれていない機能もあります。1年生は時間的余裕があるため、じっくり自分の頭で考えて学びを深めるチャンスでもあります。今後は、より多くの学生が自ら実習内容の理解を促進させられるよう、PidPortをより効果的に活用し、自分なりの学習方法を確立してもらえたらうれしいですね。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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