病理受託事業での活用事例

アドバンテック株式会社
病理受託事業部

部長 窪田 寛  様

山本 裕樹  様

※インタビュー当時(2024年11月)のご状況であり、現状とは異なる場合がございます

コスト効率と業務改善につながるWSI共有の
新しいアプローチに出会うまで

PidPortの導入背景や活用事例について、アドバンテック株式会社 病理受託事業部 部長 窪田 寛 様と山本 裕樹 様にお話を伺いました。

導入前の課題

  • Windowsサーバーを用いてWSIを外部施設に共有するためには、専門知識が必要なため、担当者が不在の場合データの共有がタイムリーにできなかった
  • ファイルストレージサービスを利用したデータ共有は、専用ソフトのインストールやダウンロードが必要なため、先生方やお客様に手間がかかっていた  

導入後の効果

  • PidPort上で直接WSIを閲覧し、先生やお客様がシステム上でフィードバックできるようになり、手間や時間が削減され、診断や品質確認のスピードが向上した。

  •  従来の社内システムのコストに対し、PidPortは月額利用料のみで済むため、運用コストの削減が実現した。

  • 操作が直感的で、専門知識がなくても利用できるため、システム担当者やスタッフの負担が軽減された。

アドバンテック様の病理受託事業内容やWSIとの関りについて、お聞かせください。

 当社の病理受託事業部では、臨床・非臨床問わず研究用途に用いる病理標本の作製(「研究用病理」と呼んでいます)を受託しています。製薬企業やCRO、さらには研究を行う病院の先生方から研究に使われる検体をお預かりし、切り出しから染色、標本の作製を行っています。また、標本は自社所有のスライドスキャナー(浜松ホトニクス社製)でバーチャルスライド(WSI)に画像化し、各種スコアや評価、判定などの画像解析サービスも提供しています。免疫染色は全自動で行い、染色条件の検討も行うなど、研究をサポートする高品質なサービスが強みです。
 
 さらに、病理所見や診断・判定サービスの提供も行っています。作製した標本をWSIで活用する場面が多く、特に提携している病理医に診断や判定を依頼したり、お客様に標本の品質確認を依頼したり、コンサルティングをするなどWSIを外部に共有することが頻繁にあります。しかし、外部施設へのWSI共有には、課題がありました。診断や品質確認のためには、1度に数十枚〜数百枚のWSIを確認してもらう必要がありましたが、ファイルサイズは数百MBから数GBに及び、そのプロセスが複雑で、効率的なデータ共有が難しい状況にあったのです。

WSIの外部共有に関する課題を解決するためにPidPortを導入されたとのことですが、導入前と後でどのような変化がありましたか?

 最初に試した方法は、Windowsのサーバーを利用した病理医や依頼者とのWebでの公開でした。外部共有は可能でしたが、システム担当者によるサーバーの維持と都度専門知識を必要とするアクセス権の設定、セキュリティーを考慮したアカウント管理など、専門知識を用いての設定を実施する必要がありました。そのために、システム担当者不在の際には共有がタイムリーに行えず、診断依頼や品質確認のリードタイムが延びるということもありました。
 また、同時に試したのはインターネットのファイルストレージサービスでしたが、こちらの方法にも問題がありました。アップロードしたファイルを閲覧するためには、専用のソフトをインストールして利用する必要があり、そのままではストレージ上で開くことができなかったり、開くのに非常に時間がかかったりしました。そのため、ファイルを閲覧するにはダウンロードの必要が生じます。ダウンロードには時間がかかる上、膨大な数のファイルを1枚ずつ確認していただかなくてはならず、この方法では先生やお客様側の手間が増えることになってしまいました。
 
 そこで導入したのが、PidPortです。PidPortでは、当社がスキャンしたWSIデータをシステムにアップロードするだけで、リアルタイムに病理医やお客様と共有できます。操作が直感的で、専門知識がなくても使いやすいため、当社スタッフが簡単に設定と利用が可能となりました。また、ダウンロードの必要がなく、システム上でWSIを直接開いて確認することができます。こうしてようやく、手間なくお客様に負担をかけずに診断や品質確認のスピードを向上させる環境を整えることができました。

PidPortのどのような機能が、業務のお役に立てそうでしょうか?

 特に便利なのは、WSIにアノテーションやコメントを追加できる機能です。以前はエクセルに記入した分析結果のレポートを先生方にメールでお送りし、WSIを参照しながら相互に確認していただく必要がありました。一方、PidPortでは、注目してほしい箇所にアノテーションを記入できるほか、該当のWSIについてチャット形式でコメントを残すことができます。また、レポート等の各種ファイルもシステム上に格納できるため、先生方やお客様はPidPortを開くだけで分析レポートを確認しながら直接WSIを見ることができ、意見や疑問をその場でフィードバックできるようになります。本格的な活用はこれからですが、診断や品質確認のプロセスがより効率化されることが期待されます。
 
 さらに、機能面だけでなくコスト面でもメリットがあると感じています。従来の社内システムは初期導入コストが高く、定期的な運用保守やメンテナンス、OSのアップデートにともなう数年おきに装置の入れ替え等が必要でしたが、PidPortでは月額の利用料のみで済むため、コストパフォーマンスが良いと考えています。当社と同様にWSIを扱う企業や研究機関にとっても、大きなコストをかけずに業務効率を向上させる機会になるかもしれません。全国に研究所を有する企業では、USBメモリなどの物理的な方法でデータ共有を行っている場合もあるでしょうが、PidPortのようにクラウドでの即時共有が実現すれば、研究の進行もよりスムーズになります。まさに、DX化・研究の効率化の第一歩として、導入するには最適なシステムなのではないかと考えています。


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最後までお読みいただきありがとうございました。

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