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臨床病理カンファレンス(CPC) の必要性とは?診断精度や教育の質を向上するためのクラウド活用法も紹介


目次[非表示]

  1. 1.医療現場におけるカンファレンスとは
  2. 2.臨床病理カンファレンス(CPC)の意義と必要性
    1. 2.1.CPCの意義
    2. 2.2.CPCの必要性
  3. 3.カンファレンスの課題(こんな課題ありませんか?)
    1. 3.1.病理画像の共有をもっと簡単にしたい
    2. 3.2.他施設との病理画像の共有を手軽にできるようにしたい
    3. 3.3.リアルタイムで標本を共有しながら解説したい
  4. 4.クラウド活用で実現する他施設と連携したカンファレンスとは?
  5. 5.病理クラウドシステム「PidPort」を用いた事例紹介
    1. 5.1.【東京医科大学病院の事例】
    2. 5.2.【PathPortどこでも病理ラボの事例】
    3. 5.3.病理クラウドを活用するメリット
  6. 6.メドメインのサービスについて
    1. 6.1.ImagingCenter(バーチャルスライド作製受託サービス)
    2. 6.2.PidPort(デジタル病理支援クラウドシステム)

医療現場におけるカンファレンスとは

医療現場ではよく耳にする『カンファレンス』とは、簡単にいうと『会議・話し合い』です。
患者さんに関する情報をそれぞれの担当者が報告し、メンバーどうしで協議しながらよりよい医療ケアを提供することを目的として行われるものが多いです。
テーマや参加者、目的に応じてさまざまな種類のカンファレンスが日常的に開かれています。
実施されるカンファレンスの種類は職場によって異なりますが、以下のようなものがあります。
・チームカンファレンス
(多職種カンファレンス、合同カンファレンス、病棟カンファレンス)
・術前術後カンファレンス(手術室カンファレンス、オペカンファレンス)
・ケアカンファレンス
・ウォーキングカンファレンス
・入院カンファレンス
・退院前カンファレンス、地域カンファレンス
・デスカンファレンス
・臨床病理カンファレンス
・オープンカンファレンス


臨床病理カンファレンス(CPC)の意義と必要性

今回は数あるカンファレンスの中から「臨床病理カンファレンス(CPC)」に着目してご紹介していきます。

CPCの意義

臨床病理カンファレンス(CPC)とは、死亡患者の剖検症例(ぼうけんしょうれい)について、また、生存中の症例についての治療方針検討など臨床側と病理側の医師がそれぞれの意見を交換する症例の検討会です。
臨床側の医師が、生前の経過や診断・治療、終末期の状態を踏まえて考えられる死因を発表し、次に病理側が剖検によってわかった所見や死因を発表します。
さまざまな科の医師が参加し、同じ症例について議論することで疾患についての理解を深め、病院全体の医療レベルを上げるという目的を持ちます。

CPCの必要性

近年、技術の進歩により、昔よりも画像診断で十分な診断が付けられることが多くなりました。
しかし、現在でも臨床診断と剖検診断が一致しない症例は約12%(※1)もあるとされています。
病理解剖によって、顕微鏡で見て初めてわかる障害や、全身に影響を及ぼす疾患がどの臓器にまで不具合をきたしているかという、画像ではわからないことがわかります。
また、CPCは病理学の研修ではなく、一人の人間の全身臓器にみられる様々な病態をどのように考えるかを剖検の結果から学ぶためのもので、適切な治療のために、何をしたら良かったのかなどを振り返りながら検証していくことがきます。
このような検討の積み重ねが、次の患者さんの診療に役に立ち、よりよい医療を患者さんに提供することができます。

さらに、CPC研修(CPCへの症例呈示とレポートの提出)は医師臨床研修制度にて、すべての研修医に必修とされています。
その為、実際のCPCでは、臨床側の経過報告や考えられる死因、病理解剖で明らかにしてほしいことなどを研修医が発表することが多いです。
さまざまな症例を対象にすることで、多くの学びを得ることができます。出席者が一つの症例から多くを学び取ることを目的に各病院で行われています。
より良い臨床医を育て、日本の医療の質を高めるためにCPCは欠かせません。


(※1) 出展元:一般社団法人日本病理学会 



【記事監修】福嶋 敬宜先生

一般社団法人PathPortどこでも病理ラボ 代表理事
自治医科大学病理学・病理診断科 教授



カンファレンスの課題(こんな課題ありませんか?)

カンファレンスを実際に行う際に、様々な問題点があるかと思います。

以下のような課題はありませんか?

病理画像の共有をもっと簡単にしたい

各科、あるいは病理と診療科の合同カンファレンスなどでは、病理画像を共有する際に、ディスカッション顕微鏡を用いて複数人でプレパラートを観察することが多いと思います。

しかし、ディスカッション顕微鏡の場合、見られる人数に制限があり共有がスムーズにいかない、あるいは現場にいないといけないのでコロナ渦で増えたリモートでは使えないといった問題点があります。

バーチャルスライド(WSI)を用いることで、そこにいる全員と簡単に画像の共有ができ、リモートでも共有することが可能です。

他施設との病理画像の共有を手軽にできるようにしたい

病理医が常勤していない病院も多く、自施設だけでは病理学的な検討が難しいために、病理医がCPCの時に来院しているケースもあります。

バーチャルスライド(WSI)があれば、他施設の病理画像の共有も手軽にできるので、リモートでのCPCの開催も簡単になり、さらに他施設も合同で開催することが可能です。

リアルタイムで標本を共有しながら解説したい

CPCのようなカンファレンスでは、あらかじめ病理医がプレパラートから代表的な所見のところを撮影して発表用のパワーポイントにします。

質疑応答の際に、もっと他の所見がみたい、〇〇な所見がみたい、などとなることもあると思います。

その際に、バーチャルスライド(WSI)であれば標本の代表的な部分だけではなく全体が観察でき、好きなところを拡大できるようになると質疑応答もスムーズになります。

さらに、パワーポイント作成で代表的な所見を探して撮影するという手間も省くことができます。

クラウド活用で実現する他施設と連携したカンファレンスとは?

複数施設がアクセスできる病理画像管理クラウドを利用することで、他施設と連携したカンファレンスをリモートで行うことが可能です。

複数施設が集まることで、症例数や症例内容の充実、看護師や臨床検査技師などのより多くのコメディカルの参加が期待でき、地域医療の向上に繋がります。

病理クラウドシステム「PidPort」を用いた事例紹介

【東京医科大学病院の事例】

東京医科大学病院では、「PidPort」を活用して複数病院を繋いだカンファレンスを定期定期に実施しています。

自施設のみならず、他施設にも「PidPort」の閲覧可能範囲を広げ、診療科とのカンファレンスや、コンサルティング、CPCがオンラインで可能になりました。

院外から招いていたコンサルタントには、遠隔操作によりオンラインで参加していただくことが可能になり、カンファレンス前に標本を下見していただくことで、症例を十分把握した上での深い解説が可能となりました。


【PathPortどこでも病理ラボの事例】



​​​​​​​PathPortは、自治医科大学病理学・病理診断科 教授 福嶋敬宜先生が理事を務める、『一般社団法人PathPortどこでも病理ラボ』です。

PathPortでは、「PidPort」を活用し、オンラインで週1回の「症例供覧室レビュー」や月1回のセミナーを実施しています。

全国の病理医が気軽に集まって、オンライン相談できる新たな場の創出に「PidPort」が活躍しています。


病理クラウドを活用するメリット

他施設と合同で行う場合には、開催場所によっては参加者がなかなか集まらないといったこともありますが、リモートでの開催により、より多くの参加者が期待できます。

また、より専門的な知識をもつエキスパートな医師を迎え、開催するなどの企画もしやすくなります。

もちろん、臨床病理カンファレンス(CPC)のみならず、各科などの地域連携した他施設とのカンファレンスなどにも活用が可能です。


メドメインのサービスについて

さて、ここまで遠隔病理診断(テレパソロジー)とバーチャルスライド(WSI)のこれからについてご紹介させていただきましたが、弊社メドメイン株式会社では、ガラス標本スキャニングサービスの『ImagingCenter』、デジタル病理支援クラウドシステムの『PidPort』を提供しており、デジタル病理における環境構築をトータルサポートしております。

ImagingCenter(バーチャルスライド作製受託サービス)

『ImagingCenter』は、迅速かつ高品質なバーチャルスライド作製の受託サービスで、プレパラートのデジタル化1枚からご依頼可能です。

以下のような課題はございませんか。

・プレパラート(ガラス標本)の保管・管理のコストや手間を削減したい
・レパラート(ガラス標本)を複数人や施設と手軽に共有できるようにしたい
・できるだけ安価かつ高品質にバーチャルスライドを作製したい
・スキャナを導入したいが、コストや人的リソースの問題で諦めている
・スキャナを導入しているが、時間・人手不足によって活用できていない

バーチャルスライドを導入するにあたり、懸念される点は大きく2つあります。
まず1つ目は『コスト』です。
スキャナを購入するコストは非常に大きな問題です。
遠隔病理診断に対する診療報酬の体制から、導入コストの採算がとれるというものではありません。大きな予算がつくのは難しいことも多いでしょう。
次に2つ目は『時間・人手不足』です。
現場の臨床検査技師にとって、プレパラートを作製するのみでなく、スキャンするという作業は時間・人手が必要となります。
慣れない作業の上、運用の方法なども決めなければならず大変な労力を要します。

これらの懸念を『ImagingCenter』は解決いたします。
Imaging Center(イメージング・センター)では、お客様からお預かりした病理組織・細胞のガラス標本(病理標本・病理スライド)をデジタル化し、⾼精細なバーチャルスライドとして納品いたします。
過去の病理標本の保管・活⽤はもちろん、オンラインでのカンファレンスや、関連施設間での遠隔病理診断・コンサルテーションにいたるまで、病理診断に関わる様々な業務に新たな価値を提供し、デジタルパソロジーの環境構築を最⼤限にサポートします。

  高品質・迅速なバーチャルスライド受託サービス「Imaging Center」| メドメイン株式会社 お客様からお預かりした病理組織・細胞のガラス標本(病理標本・病理スライド)をデジタル化し、⾼精細なバーチャルスライドとして納品するImaging Centerが、デジタルパソロジーの環境構築を最⼤限でサポートします。 メドメイン株式会社


PidPort(デジタル病理支援クラウドシステム)

『PidPort』はデジタル病理標本の最適な保管庫としてご利用いただける、病理画像管理クラウドサービスです。

以下のような課題を『PidPort』は解決します。

・病理医不足による業務負担や心理的負荷が大きい
・病理標本の保管・管理工数が増え続けている 
・症例の共有やコンサルテーションを手軽に実施したい
・各診療科とのカンファレンスをオンラインで実施したい
・バーチャルスライドをうまく活用できていない

複数の医療関係者がクラウド上にある病理標本を、いつでも・どこでも閲覧可能にします。施設を跨いだ大規模なデータベースの構築にもお役立ていただけます。効率的で迅速な病理診断をトータルで支援します。
納品方法はPidPortのシステム上に限らず、HDD等での納品も可能です。PidPortを希望される場合は、お客様の専用アカウントとストレージを発行します。その際はメールアドレスだけでアカウント発行が可能です。

活用が期待されるシーンは以下の通りです。
・遠隔病理診断/コンサルテーション
グループ病院や各地に抱える関連病院との間に、強固な相互扶助のネットワークを構築することで、日々の診断業務をより快適にし、現場の病理医の負担を軽減します。

・カンファレンス/CPC
新型コロナウィルス感染症の流行に伴い、密集する空間を避ける必要がある環境下で、自宅などの遠隔地からでも容易にカンファレンスを開催・参加できる体制を整えます。

・症例共有・講義
注目視野の限られた顕微鏡写真による学習ではなく、病理診断用の標本全体をバーチャルスライドでじっくり観察しながら学べる環境を構築することで、大きな学習効果が期待できます。


・共同研究
プレパラートを移動させる必要がなくなるので、遠隔地の先生とも格段に研究が進めやすくなり研究スピード効率が拡大に改善できます。



  デジタル病理を支援するAI搭載クラウドシステム「PidPort」| メドメイン株式会社 PidPortの詳細をご紹介します。デジタル病理標本の最適な保管庫としてご利用いただける病理画像管理クラウドサービス PidPortで、複数の医療関係者がクラウド上にある病理標本を、いつでも・どこでも閲覧可能に。効率的で迅速な病理診断をトータルで支援します。 メドメイン株式会社